ああっ、夏休み!?


「ねぇ、ヒィロ?」
「…そのアニメの主人公みたいな言い方止めろ。俺はあそこまでヒネてねぇ」
「何のこと?」
「…いや、わかんなきゃいいんだ」

…そうだったな。こいつがロボットアニメなんざ見てる訳が無い。

「とにかく、その変に間延びした言い方は止めろ、綾香」
「…言い易いんだけどな。じゃ、藤田さん」
「…それも無しだ」
「…困ったな、じゃあ何て呼べばいいの?」
「いつも通りヒロユキって呼びゃあいいだろうが!退屈だからって人の名前で遊ぶんじゃねぇ!!」

全くコイツときたら。ちょぉっと放っとくとすぐに拗ねやがるんだから。ホント、猫みたいな奴だな。
見ろ、葵ちゃん、しゃがみこんじまったじゃねぇか。まあ、そこまで笑わなくてもよさそうなもんだが。しょうがねぇな。
小悪魔の強引な介入により中断を余儀なくされた俺は、仕方なくキックミットを外して綾香の相手をしてやることにした。

「全く、可愛い後輩の邪魔してどうすんだよ?」
「あら、こんな炎天下でミット蹴ったって体に悪いだけよ」

まあ、確かに洒落にならない日差しではある。

「…もうそろそろ夕方だってのに何でこんなに暑いんだ」
「7月だもん」

そう、今は7月も後半に突入した夏の盛りだ。この時期寒かったら異常気象の極みだけどな。ついでに今のシチュエーションを説明しとくと、ここはいつもの神社境内。
俺と葵ちゃんの活躍もあって、同好会はめでたく部活に昇格、体育館も使えるようになったんだけど、何となく初心が忘れられないっつうか、俺達二人は部活が休みの日に時々ここで練習していた。
…あくまで二人の秘密練習のはずなんだが、何故かいつも綾香がいるんだよな、いつの間にか。コイツ、サテライトシステムか何かで俺のこと監視させてんじゃねぇだろうな?…考え過ぎか。

「それで?」
「えっ?ああ、そうそう。ねぇヒロユキ?」

少しだけ上目遣いで、歌うようなイントネーションで俺の名を呼ぶ綾香。この「ねぇヒロユキ」にはなんべん聴いてもドキッとさせられる、妙な色気みたいなもんがある。ただでさえ美人なのに、健康な男子高校生にはちいっとばかし毒だぜ、綾香?

「もうすぐ夏休みよね」
「北海道以外は日本全国そうだと思うが?」
「その日本全国夏休みシーズンの予定は決まったの?」

めげないのもコイツの特徴だ。

「勉強」
「…他には?」
「部活」
「…それだけ?」
「それだけ」
えーーー!!うっそでしょう?貴重な青春の一ページを勉強と部活だけで潰そうって言うの!?」

…わざとらしく口に握り拳なんかあててやがる。人を撲殺できる拳でそんな可愛らしい真似するんじゃねぇっての。…似合っちまうから凶悪なんだよな、コイツの場合。

「あのな、綾香」

だが、そんなもんに誤魔化されるような俺じゃねえぞ。

「俺達、何年生だ?」
「三年生」
「そうだ、高校三年生だ。高三と言えば、泣く子も黙る受験生だぜ?部活だって辞めちまう奴の方が多いんだ。フラフラ遊びまわってる暇なんざあるわきゃねえだろ」
「ウソー、ダサー、シンジランナーイ」
「…気持ち悪いからやめろ。お前にそんな下品な真似は似合わねえよ」
「それもそうね」

…コイツ、しれっと頷きやがった。

「でも勉強と部活だけなんて息が詰まっちゃうよ?たまには羽目外さないと受験までもたないんじゃない?」
「だ・か・ら、勉強だけだと息が詰まるから部活を辞めないんじゃねえか…
そういや、綾香は進学、どうすんだ?」
「アタシ?もちろん、受験するわよ?」
「お前だったら推薦の口なんざ掃いて捨てるほどあるんじゃねえのか?」
「まあね、でも、肩書きだけの進学なんて興味無いから」

さらっと言ってのける綾香。コイツは本当にカッコイイ女だ。顔やスタイルだけじゃなくて、爽快な気分にさせてくれる性格が何とも言えずカッコイイ。「ハンサムな女」ってのは、コイツみたいな女のことを言うんだろうな。

「だったらお前も受験勉強ってもんがあるんじゃねえのか?いくらお前でも、いつも通りで素通りできるほど大学受験は甘くないと思うぜ。どうせ素通りできるようなトコは選ばねえだろうしな」
「まあね。でも、やっぱり夏休み何処にも行かないっていうのはもったいないよ〜
ヒロユキ、一度くらいどっか行かない?海でも山でも」
「そして別荘でも、か?却下だ、却下。お前のことだ、どうせとんでもない山奥のロッジとか離れ小島の別荘とかに連れて行くつもりなんだろ。一週間も二週間も遊んでられるか」

…このやろ、舌出してやがる。こっちは冗談だったのに、ホントにそうするつもりだったな?…全く、世間からかけ離れたお嬢様のガールフレンドってのも苦労するぜ。

……ちなみにコイツ、来栖川綾香は俺にとって友達以上、彼女未満の存在だ。コイツの方はどういう訳か俺のことを好きになってくれているらしい。いっぺん、はっきりそう言われたことがあるから間違いないだろう(「決戦の日」ご参照)
でも俺は、まだはっきりと答えてやれていない。いや、自分の中ではっきりとした答えを出すことが出来ずにいる。
優柔不断?言いたきゃ言えよ。何と言われても仕方が無いってことくらい、自分でもよくわかっているつもりだ。何で答えを出せないのか、それもよーくわかっている。…俺には自信が無いんだ。
綾香は本当にいい女だ。容姿端麗、頭脳明晰、性格は、まあ、ちょっとばかし問題が無いとは言えねえが、それでも凄く気持ちのいいヤツだ。その上エクストリームのチャンピオンで、しかも来栖川グループ本家のお嬢様。あの、来栖川の直系のお嬢様だぜ?
友達として付き合う分には、そんなことは気にしない。自慢じゃないが、俺はその手のことには徹底的に無頓着、と言うか無神経な性格だ。例え相手がアラブの石油王の王子様だって気にせず付き合える自信がある。…言葉が通じれば、だけど。
でも、彼女にするとなれば話は別だ。それに、例え「来栖川」のことが無くたって、コイツは俺には眩し過ぎる。
…なあ、綾香。一体俺の何処が気に入ったんだ?俺にはお前の隣に並ぶ自信が無いんだよ…

◇◆◇◆◇◆◇

ウーン

大きく伸びをして時計の文字盤を見る。…もう1時か。
世の中には睡眠3時間とか4時間とかいう受験生がいっぱいいるようだが、俺ははっきり言ってそんなもんくだらないと思っている。寝ぼけた頭にいくら詰めこんだって、結局身につきゃしないんだ。そんなんは自己満足でしかない。十分睡眠をとるのも受験勉強の一部だぜ。
それでも、八月に入って流石に夜中まで机の前に座っていることが多くなった。大体0時頃にはベッドに入るようにしていたのが、今日みたいに1時過ぎになるなんてことも増えてきた。だが、一日をダラダラ過ごしていた頃は夜中の2時、3時なんてのもザラだった。
アイツに会って、それまでとは違う生活を始めて、また体を動かすようになってから、夜、何となく眠れないということもなくなった。二年前の、高一の頃の俺からは考えられない生活の変化だ。
そんな訳でTシャツを替えてベッドに入ることにする。クーラーのかけっぱなしは体に悪いから、窓は開けたままだ。いつも通りの夜。そこまでは。

第六感というものは間違いなくある。第六感が信じられなければ単なる「勘」でもいい。格闘技なんかやってると五感以外の「何か」を確実なものとして実感する瞬間が多々あるもんだ。この時もそうだった。
俺は強烈な危機感に襲われて、横になったばかりのベッドから慌てて転がり落ちた。次の瞬間、ボスッという重い落下音がベッドから聞こえ、床に伏せた俺の目の前に人影が転がり落ちてきたんだ。その人影は前転しながら綺麗に着地を決めて、膝立ちの姿勢で俺を見た。全身黒ずくめ、だが、かなりの巨漢であることはすぐにわかった。膝を突いた姿勢からですらわかる重量感。そして、紛れも無い闘気。
俺は肘を突いた姿勢から慌てて立ち上がった。こんな状態ではやられるのをただ待つようなもんだ。その黒ずくめの男は、俺が間合いを取ったのを見てゆっくりと立ち上がる。やはり、かなりの巨漢だ。闇が脅威を何割増しかに増幅してみせているとしても、確実に俺より二回りはでかい。

「強盗なら入る家を間違えてるぜ。うちは庶民なんだ」

我ながら、肝が据わっていたと思う。震えもせずにこんなふてぶてしい台詞を口に出来たんだからな。何の意味も無かったけど。
その男はいきなり殴り掛かってきたんだ。肩の位置から真っ直ぐに伸びるリードブロー。肩の捻りが利いたストレート。こいつ、素人じゃねぇ。ボクシングかマーシャルアーツか、それ系の修練を積んだ奴だ!
全身黒ずくめの衣装、闇に溶け込む黒い長袖と黒い手袋の所為でただでさえスピードの乗ったパンチがほとんど見えねえ。俺は半ば直感だけでそいつのパンチをガードし続けた。状況は余りに不利だ。狭い部屋の中じゃフットワークを生かした闘い方は出来ねえ。ガタイとパワーはあっちが上。その上夜の闇すら味方につけてるときやがる。

なめるな!

だが、俺だってこう見えてもエクストリーム高校生の部の準チャンプだ。受験生と言ってもトレーニングをサボっちゃいねえ。運良くいなしたストレートの引き腕と同時に相手の懐へ飛び込んで腹に肘を打ち込む!
相手の動きが一瞬止まる。俺はその隙にそいつの脇を摺り抜け、部屋の入り口へダッシュした。明かりを点ければ黒装束の有利を消すことが出来るし、こういう怪しい奴は姿をはっきり見られるのを嫌うはずだ。
だが、男の横を駆け抜けた瞬間、俺はガクッとつんのめってしまった。男の背後から伸びた足が俺の出足を払ったのだ。しまった!もう一人いたのか?
勢いに逆らわず前転して、俺はそいつから距離を取った。つもりだった。だが、立ち上がった瞬間にはもうそいつの姿が目の前にあった。…まあ、狭い部屋だからな。

「くっ!」

やっぱり全身黒ずくめの、小柄なそいつは立ち上がったばかりで隙の出来た俺の顔面目掛けて掌底を伸ばしてくる。何かやけに分厚い手袋だ。
その攻撃を躱せたのは幸運の賜物以外の何ものでもなかった。俺はダッキングすると同時にそいつの腰にタックルをかけたんだ。そして…

何いぃぃぃぃ!

自分の体の下の、華奢な、柔らかい感触に呆然としてしまう俺。次の一瞬、俺は顔に何かスプレーの様な物を吹き付けられて意識を失っていた。

◇◆◇◆◇◆◇

「う、うーん……」
「あっ、お目覚めになられましたか」

うー、もー酒は呑まねえぞ。二日酔いの度に何度そう思ったことか。…今時の高校生なんてこんなもんだ。
それは馴染みのある、二日酔いの症状。頭の上に体が乗っているような、重たい頭痛。(重い頭痛、じゃないんだな、これが)
そしてハッと気がついた。酒じゃねぇ。俺は昨日酒なんざ呑んでねえぞ。寝込みを黒装束の二人に襲われて…?

「おはようございます、藤田様」
「…長瀬のおっさん!?」

俺は顎が外れるかと思ったぜ。俺の視線の先にいたのは来栖川家の執事、長瀬のおっさんじゃねえか。

カアァァァァァァァ

そして次の瞬間頭の中を族の改造マフラー車が走り回っていた。地獄だ…

おっさんではなーーい!セバスチャンである!!

…そう、先輩につけられたセバスチャンとかいう恥ずかしいニックネームを、いい年して恥ずかしげも無く名乗っている来栖川家の執事だ。

「た、頼むから大声を出さないでくれ……」

このおっさんの一喝攻撃、今日は一際こたえるぜ。
そこで俺は重大なことに気がついた。昨日の黒装束、体がでかい方の体つきは長瀬のおっさんそっくりなのだ。

「おい、何であんたが俺の前にいるんだ。ここは何処だ?もしかして昨日俺を襲ったのは」

そうだ、ここは俺の家じゃない。質素に見えて、すんげえ高級な調度が惜しみなく使われている。何度か綾香に、そして先輩に招待されて来栖川の屋敷に出入りしたことがあるからな、高そうなもんだってことくらい見当はつく。

「ここは来栖川家の別荘の一つでございます」

予想通りのことを平然と言いやがった。

「襲ったというのは、はて、何のことでございましょう?」
とぼけんな!昨日の二人組、…そう言やもう一人の方、あれはもしかして」
「ピンポーン。おはよー、ヒロユキ」
「あ、綾香!?」

そこに現れたのは、涼しげなサマードレスを着た綾香だった。

「良く眠れた?」
てってってっテメエ!!一体何考えてやがる!?人を拉致しやがって、犯罪だぞこれは!!

盛大にわめき散らす。俺はすっかりパニクッていた。当然だろう?夜中に寝込みを襲われて、目が覚めてみたらいきなり知らない所に連れ込まれているんだから。だが、これで頭痛の正体がわかったぜ。綾香のヤツ、アルコール系のノックアウトスプレーを使いやがったな!?

「拉致?なんのこと?」
「なっ、なっ、なっ」

なんのことだとぉぉ!?

「少しご招待のしかたが手荒すぎたかしら?どう思う、長瀬?」
「はい、わたくしはなかなか面白いご趣向かと思いましたが、藤田様はもしかしたら違うご意見をお持ちなのかもしれません」
当たり前だろがぁぁぁぁぁ!!

またまた頭を抱え込む俺。自分の出した声で頭痛に襲われてりゃ世話ねえや。

「でも、ご両親のお許しはいただいてあるわよ?」
…え゛っ?
「うちの親からヒロユキのご両親に、ヒロユキを別荘に招待したいって言ってもらったんだけど。ご両親、快く頷いて下さったみたいよ?」

…そりゃそうだろう。来栖川本家の誘いを断れるほど俺の親は図太くねえからな。っと、ちょっと待て。

「…いつの話だ、そりゃ。俺は聞いてねえぞ」
「昨日の晩」
「……それで?昨日の晩うちの親の了解は得たから昨日の夜中早速俺を招待しに来って訳か?」
「そうよ」
「黒装束で、窓から押し入って、強引に?」
「確かにちょっと強引だったかも」

ちょっと?睡眠スプレーまで使っておいてちょっと??

「それで?俺の意志はどうなるんだ??」
「もちろん、快く受けてくれるわよね?」

ニコニコニコ
そう言って微笑む綾香の笑顔はとても眩しいものだった。首の後ろで束ねた髪が揺れる度、いつもは長い髪に隠れている白いうなじが見え隠れして、その度に俺の心臓は跳ね上がることになる。
悔しいが、俺はこの笑顔に勝てなかった。すっかり毒気を抜かれてしまう。
でもなあ……

「なあ綾香。何だってこんな無茶な真似をしたんだ?」

コイツは気紛れだけど我侭なヤツじゃない。決して、自分の意志を他人に押し付けるようなヤツじゃない。何か、余程思うところがあるんだろう。

「うん…そろそろ宿題を提出してもらおうと思って」
「宿題?」

ホントーに、俺には綾香の言おうとしていることがわからなかったんだ。
そして、俺がまるっきり不得要領な顔をしているのを見て、綾香が一瞬だけ泣きそうな表情になった。あの、綾香が。

「ヒロユキ、あのね。アタシの志望校なんだけど」

へっ?

「アタシ、留学するんだ」
「…何で?」

我ながら間抜けな質問だ。そりゃ、来栖川のお嬢なんだから留学なんて不思議でも何でもない。ましてこいつは子供時代をアメリカで過ごしている。アメリカやイギリスの大学に進んだって何の不自由もないだろう。

「やっぱり経営学を勉強するなら、日本よりアメリカの方が進んでいるから。アタシはやっぱり『来栖川』綾香で、来栖川綾香としての責任を果たさなきゃいけないから」
「そっか…」

それは意外でも何でもなかった。俺の内側に生まれた想いは、「やっぱり」というものだった。そして、それはよくわからない感情を伴っていたんだ。

「高校卒業したらすぐに向こうに渡って、あっちで大学受ける準備するんだ。だから、卒業したら今までみたいに会えなくなる…」

そうか、これは「喪失感」だ。

「だから、そろそろ答えが欲しいと思って。勝手だとは思うけど、そろそろ宙ぶらりんが辛くなってきたから」

ドクン

全身に響く鼓動。衝撃。

答え
そうか
遂に

「ヒロユキ、アタシ、アナタのこと好きよ。こんな事して卑怯だと思うけど、他のアナタを好きな娘(こ)には申し訳ないと思うけど、アナタの答えを聞かせて欲しいの」
「綾香……」
「お願い、一週間だけ、アタシに付き合って?もしヒロユキがアタシに友達以上の気持ちを持てないって言ったら、その時はすぐに帰りのヘリを用意させるわ。そして一週間結論が出なかったら…その時答えをちょうだい。それがどんな答えでも、アタシはそれで自分の気持ちに区切りをつけるから」

綾香がこんな事を言うなんてな。あの綾香が、こんな弱気なことを言うなんて。
コイツも決して、いつもいつも自信満々って訳じゃないんだ。不安に怯える事だってあるんだ。

「…一週間もいらねえよ」
「…えっ?」

綾香の顔がサッと蒼ざめたような気がした。

「俺は、いつもお前のことが眩しかったんだ。お前とつりあう自信が無かったんだ。お前の隣に立って、無様な姿を晒すのが怖かったんだ」
「それってどういう意味…?」

不安を顕にした、綾香の顔。普段決して見ることの無い、綾香の不安げな表情。

「でも今わかった。やっとわかったよ。やっぱり、俺はお前を見ていたい。お前と一緒にいたい」
「ヒロユキ…!」
「…遅くなってゴメン、綾香。提出期限は随分オーバーしたかもしれないけど、受け取ってくれるかな?」
「…特別に許してあげるわ。そのかわり、その分、暫くアタシに付き合ってもらうわよ!?」

綾香の笑顔は少しだけ目が潤んでいて、それでも、あるいはだからこそ、いつも以上に眩しく輝いていた様な気がした。

◇◆◇◆◇◆◇

「おいっ綾香、そろそろ家に帰してくれねえか…?」
「駄目よ、まだ四日目じゃない」
「・・・・・・・・・・・・・」
「姉さんもそう思うでしょ?」

来栖川姉妹に振り回されてもう四日目。
両手に花と思うだろ?
でも、想像してみてくれ。
朝から晩までスパーリングと魔術の実験台だぜ?
そうじゃなきゃ、ケツがむずがゆくなるような(下品でスマン)お茶の時間だ。
脱走しようにも、ここは太平洋上の離れ小島。島一つ丸ごと来栖川の持ち物だ。
おい、俺は受験生なんだぜ?
ああっ、誰か俺の夏休みを返してくれーーっ!!

(by 百道真樹)


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