「ねえ、志保？」
「え、何？ あかり」
「まだ帰らなくて良いの？ 結構暗くなってきたけど」
「だいじょーぶだって。こないだだって、公園まで行っちゃったからすごく遅くなったけど、うちはそーいうの
寛容だから」
「翌朝目の廻りが大変だったけどね」
「あはは、あん時は思いっきり泣いたからねぇ。お互い」
「…でも、何かすっきりしたんだろうね。ぐっすり眠っちゃったもの」
「ん。翌日がすがすがしかったわ。目がしょぼしょぼしたけど」
「浩之ちゃんが怪しんでたね。『おめーら何か二人で、遅くまで変な事やってたんじゃねえだろうな』って」
「『あんたの言う変な事ってどんなの？』って聞いたら、顔赤くすんだから。しつれーしちゃうわね、まったく」
「雅史ちゃんまで顔赤くしてたね。そんなに誤解される程べったりかな、私達。ふふふ」
「あはは、そうかもね。最近特にね」
「うん。…あのね、この間の事だけどね。話してる最中、私、志保ともう親友で居られなくなるかも、って思ってた」
「何で？」
「これまでの関係が間違ってるとか、好きな気持ちは大事にしていけとか、結構自分勝手な事言っちゃったから」
「全部ほんとの事だし、言ってくれて嬉しかったわよ」
「でも言い方きつすぎたかも、って」
「そんな事言うなら、あたしの方、あんたの悩んでた事に気付かなかったってこと。本当に親友なの！？って
言われたっておかしくなかったんだから」
「そんなこと言わないよぉ。だって志保…」
「だって、何？」
「…一つの事に熱中すると、周りが見えなくなる、って事良く知ってるから」
「あたしゃ猪かなんかかい、こりゃ！」
「あう、ぐりぐりはやめてー」
「ふふ。甘いわね。これはうめぼしと言うのよ」
「あうあうあう…むー、志保、やりすぎ。お返し！」
「ひやぁっ！？」

「…はあはあ」
「…ふうふう。…ふ、ふふっ」
「あははっ。最近あかりも結構やり返してくるわね」
「志保が変な遠慮しないでくれるから、私も嬉しくて」
「前みたいな関係は壊れちゃったって事かな？」
「そうかも。でも、新しい関係が続いてるよ」
「そおね。あたしも今の方が楽しい。やっぱ前は不自然だったのかな」
「分かんないけど、こういうことできるほうが親友だって言えるんじゃないかな？」
「うん。そだね。…でも、胸掴みはちょっと封印して。変な噂がひどくなりそ」
「…あ。あそこ」
「げ。…ありゃぁ。あいつ、今の見てたかな？」
「逃げようとしてる。多分…しっかり見てたんじゃないかな…」
「しょーがないわね。追うわよ、あかり！」
「…うん！」

「こらー、ヒローー！」
「浩之ちゃぁーーん！」






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