車から外を見る。
私と同じくらいトシの子たちが、楽しそうに大勢で遊んでいるのが見える。
私も一緒に遊びたいな。
……けど、おじいちゃんは許してくれない。
まえに一度、どうして私はみんなと遊んじゃ駄目なのかって訊いたら
「あんな下賎な子供達と遊ぶのはお前のためにならない」
って、言われた。
”げせん”っていうのは、よくわからなかったけど、言いたいことはなんとなく
わかった。
でも、あの子たち、とっても楽しそう。
お気に入りのうさぎさんと一緒にベッドに入る。
このこは可愛いけど、でも、なにも言ってはくれない。
私が動かさなければ自分で動いたりもしない。
他のこたちもそう。
みんな可愛いけど、でも喋ったり動いたりはしない。
なんか、……寂しい。
一緒にお話したりできるお友達が欲しいな。
お父さんとお母さんは、私もみんなと遊んでいいんだって言ってくれた。
けど……。
(私も、一緒に遊んでもいい?)
心の中で思っても、口から出ない。
結局、いつも一人ぼっち。
お母さんの部屋で本をみつけた。
外国の言葉で書かれているから全然読めないけど、でも、気になる絵が書いてあっ
た。杖を持ったおじいさんの前の床に、なんだかよくわからない模様のまるが書かれ
ていて、そこから虫みたいな羽をつけた小さな女の子が出てきている絵。
「魔法使いが精霊……え〜と、妖精さんを呼び出しているっていう図ね」
お母さんに訊いたら、そう教えてくれた。
妖精さんを呼び出す?
じゃあ、この本を読んだら妖精さんを呼んだりお話したり出来るのかな?
……妖精さんだったら、私のお友達になってくれるかも。
*
「へぇ、それじゃ先輩が魔術に興味を持ったのって、友達が欲しかったからなんだ」
オレの言葉に先輩は、少し恥ずかしそうに。
……こくん。
と頷いた。
「で? 妖精の召喚っていうのは成功したの?」
ふるふる。
「そっか、……でも、そのうちきっと成功するさ」
先輩を慰める意味でも明るくそう言ったのだが……。
ふるふる。
先輩は少し考えた後で首を左右に振った。
「え? どうして?」
予想外の反応に思わず問い返すオレ。
「…………」
俯いたまま黙ってしまう先輩。
心なし顔が赤いような?
「先輩?」
いきなり黙られてしまうと、なんとなく不安になる。
「………」
「え?」
先輩が何かを言ったが声が小さくて聞き取れなかった。
「……浩之、さんが」
「オレが、……なに?」
「浩之さんが側にいてくれるから」
「え?」
オレが? オレと召喚術とどういう関係があるっていうんだ?
ぽふっ。
先輩がオレの胸に顔を押し当てるようにもたれかかってきた。
「浩之さんがいてくれるから」
オレの胸にもたれかかったまま喋る先輩。
なんとなくくすぐったい。
「……妖精がいなくても、……寂しくないです」
…………ごくん。
あ、思わず唾を飲み込んでしまった。
こういうこと言われると、やっぱ照れる。
けど。
「せんぱ……いや、芹香。これからも、ずっと一緒だから。もう、絶対に芹香に寂し
い思いはさせたりしないから安心して」
芹香の後ろ頭を撫でてやりながら、オレは優しくそう囁いた。
(終)
あとがき:
が〜〜〜! 芹香さん難しい(^^;
L.H.さんとKohさんという、芹香さんに対する愛や思い入れが僕なんかより
よっぽど深い方々の作品を読んでしまっているので書きづらいこと書きづらいこと。
17〜18歳バージョンの芹香さんの思考はよくわからんので、子供時代に逃げてみ
ました(笑)
しかし、こないだの葵ちゃんというお題のときに書いた「出会い」も子供時代の
話だったし、このままズルズルといってしまうのか?(^^;
僕、子供書くの苦手なのに〜(笑)