海へ行こう!

輝く太陽、白い波。
オレたちは今、海に来ている。
一学期の間バイトであけくれ旅費をなんとかひねり出し、こうして委員長と一緒に、二泊三日の海水浴旅行に来ることができた。


到着すると早速水着に着替え、砂浜へと繰り出した。
委員長の水着は、白のビキニだ。ついオレはその姿に見とれてしまった。

「…なに、人のことじっとみて」
「いやさ、委員長が可愛くって、みとれちゃってさ」
「そう言われると嬉しいわあ」
「…委員長、やけに素直じゃん?」
「そうや、折角の二人一緒の旅行中なんや。さ、泳ご!」


海水を掛け合ったりして、子供の様にしばらくはしゃいだ後、陸に上がって露店で腹ごしらえをした。
オレはヤキソバを、委員長はホットドックを買った。

「なんの変哲も無いヤキソバなんだけど、海で食べると旨いんだよなあ」
「そうそう」
「委員長のホットドックも、旨そうだな?ちょっとくれよ?」
「はい」
「あーん…」
「…私にもヤキソバ、くれへんやろか?」
「ほい」
「あーん…」


その後は、二人で並んで甲羅干し。お互いの背中に、オイルを塗りっこだ。

「…委員長、これ、跡がつくぞ」
「ちょ、ちょっと!?どこ引っ張ってん!?」
「外したら?」
「人に見せやせんから、ええの!!」
「ちぇっ、残念…」
「だから手ぇ離しって!?」


そして日も暮れて、オレたちはホテルの部屋に入った。窓を開け、月の光が映った海面を二人並んで眺めた。

「昼間の太陽の下の海もいいけど、夜の月明かりの下の海ってのも、いいもんだな。なぁ、委員長?」
「うん…」
「…」
「…」
「委員長…」

オレは、委員長の肩に回した手に力を込めた。そして、耳元で囁いた。

「…愛してる…」
「うん…」

委員長は、俺にもたれて体を預けてきた…。


楽しかった旅行もおわり、今オレたちは、帰りの電車の中にいる。
さすがに三日分の疲れが出たみたいで、二人して互いの肩にもたれ合い、船を漕ぎっぱなしだった。

「起きんかい!もう終点や!!」

オレは委員長に肩をゆさぶられて、ようやく目が覚めた。伸びをしているオレを見ながら、委員長は言った。

「なあ…。結局海で泳いだの、最初の日ぃだけやったなあ?」


(終)


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