「浩之さん、浩之さん・・・。」
「うん? 何? 琴音ちゃん。」
「今度のお題、私なんです・・・。」
私は頬を赤らめてそう言った。
「なんか、前にもあったなーー。ネタが無いのをネタにするの。」<5月編参照(笑)
「・・・・ぐすっ・・・。」
最近・・・浩之さん、意地悪です・・・。
「あっ・・・ごめん、琴音ちゃん・・・。」
「いいえ・・・私が悪いんです・・・。私が・・・ぐすっ・・・。」
「こ、琴音ちゃん。学校も終わったし、ちょっと散歩して行こうか。」
「はい!」
私は浩之さんの腕を取り、べったりとくっついた。
「行きましょう。」
私は顔を真っ赤にして浩之さんにそう言いました。
「おう。」
浩之さんも顔が真っ赤です・・・。
私と浩之さんは雨が上がったばかりの道を家に向かって歩いていきます・・・。
今日は梅雨の中休みのようです・・・。
「琴音ちゃん・・・こっちの遊歩道行こう?」
「はい・・・。」
私と浩之さんはちょっと遠回りだけど、遊歩道を通っていくことにしました。
「あっ・・・。」
「どうしたの? 琴音ちゃん。」
私は見つけたものを指さします。
「あっ・・・。」
私が指さしたのは、遊歩道に沿って植えられていたあじさいでした。
「綺麗です・・・。」
「ああ、綺麗だな・・・。」
私と浩之さんはベンチに座って眺めようとしましたが、濡れていたのでやめました。
ちょっと残念でしたが、雨に濡れて輝いているあじさいは幻想的なほど綺麗でした。
「琴音ちゃん・・・もっと見ていきたいんだろ?」
「でも・・・ベンチ・・・座れません・・・。」
そう言うと浩之さんはポケットからハンカチを取り出して濡れたベンチの上を拭いてくれました。
「どうぞ、琴音姫。」
浩之さんは私に向かって茶目っ気たっぷりにそう言いました。
「くすっ・・・。」
私と浩之さんはしばらく時間を忘れてあじさいの花に見入っていました。
「さ、琴音ちゃん、行こうか。」
「はい。」
そう言って浩之さんは私に手を差し出した。
「ありがとうございます。」
そう言って私はその手を取りました。
その後、浩之さんは私を家まで送ってくれました。
浩之さん・・・明日絶対美味しいお弁当作って行って今日のお礼しますね。