「浩之ちゃん、大変!大当たりだよ〜〜」
ドアを開けるなり叫びながらあかりが飛び込んできた。
「な、なにがだ。すこし落ち着け、あかり」
「だから大当たりなんだよ〜〜」
全然落ち着いていない。しっちゃかめっちゃかだ。
バンッ!
あかりの肩に手を強めに乗せる。
「はじめからゆっくり話してみろ。」
「う、うん。商店街の福引きが当たったの。特等賞、スキー旅行一泊二日。」
「そうか、よかったな。」
「あれ、浩之ちゃん嬉しくないの?一緒に行こうと思ったのに」
あかりは少し残念そうな顔をした。
「金がないんだよ。移動費だって馬鹿になんないしな?それに家族では行かないのか?」
浩之だって行きたい。だが先立つものが無くては旅行はできないのだ。
それにあかりの家族だって行きたいだろう。
「だって、うちの家族スキーできないんだよ。それに二人分しかないからみんなじゃ
行けないんだよ。」
「だからってなぁ・・・」
浩之が少し渋っていると後ろから浩之の母が声を掛けた。
「いいわよ、行ってらっしゃいな。せっかくのお誘い断ったら悪いわよ。」
「じゃあ金出してくれよ。」
「いいわよ。お年玉から引くから。」
「・・・・」
しまった、という顔をする浩之
「じゃあ、浩之ちゃん一緒に行こうね。」
あかりがにこにこしながら聞くので
「おう」
と答えてしまった。