昨日の酒は案の定二日酔いとなってしまった。
「うう、頭痛ーい。」
 あかりは頭を押さえながら布団から起きあがる。
「大丈夫か?」
「うーん、大丈夫。」
 しかし、布団から出たところでへたり込んでしまう。
「今日はおとなしく寝てろって。」
 浩之があかりの隣に座って肩を押さえる。
「でも・・・」
 あかりは無理矢理に起きあがろうとするが体がいうことを聞かない。
「今日も吹雪だからな。スキーはムリだからゆっくり寝てていいぞ。」
「ごめんね、浩之ちゃん」
 あかりがすまなそうな顔をする。
「いや、止めなかった俺も悪いんだ。だからそんな顔するなよ。」
「うん。」
 あかりは素直に布団の中に戻る。
「何かいるものあるか?」
「べつにないよ。浩之ちゃんがそばにいるもの」
 言ってしまってからあかりが顔を真っ赤に染める
「・・・・」
 その言葉を聞いて浩之が真っ赤な顔になる。
「あのー、私たちもいるんですけどぉ」
 後ろから綾香の声が聞こえる。
 葵ちゃんはぐてっとしたまま動けそうにない。
「あ、ごめん。部屋に戻れる?」
 綾香はゆっくりと体を起こすと手を振って部屋から出ていこうとする。
「あんまりこの部屋にいると邪魔みたいだから。」
 そう言うと葵を引きずるように帰ってしまった。
 あれだけモノが言えれば大丈夫だろう。浩之はあかりの看病に戻った。


 午後になると酒の方も抜けてたらしく、あかりも元気になった。
 だが外は相変わらずの吹雪でスキーはできそうにない。
「どうやらリフトの方が止まっちゃったみたいよ。もう帰るしかないわね。」
 受付で情報を仕入れてきた綾香が残念そうに言う。
「どちらにしろこんな状態じゃスキーなんてできないしな。」
 浩之はそう言うと荷物をまとめにかかった。
「そうですね。残念ですけど・・・」
 葵はちょっと残念そうに部屋に戻っていった
「また来ればいいよ。今シーズンはまだ残っているし。」
「そうしましょうか。じゃあ私も部屋の荷物を片づけに戻るわね。」



 都会に戻っても雪が降っていた。路面にうっすらとつもりはじめている。
 あかりと浩之は家に向かって並んでいく。
「大変な旅行だったよね。」
「そうだなぁ、でも楽しかったよ。またいこうぜ。」
 地面は真っ白に染まって、街灯の光を反射する。
「それじゃ、また明日ね。」
「じゃあな。」
 あかりの家の前で分かれると自分の家に向かって歩いていった。
「積もるかな?」
 空から降る雪を眺めながらそっと呟いた

                                                  




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