復讐の月曜日


きーんこーんかーんこーーん
「さーてメシだな」
「浩之ちゃーん、屋上行かない?」
 あかりが大きな包みを持って食事へ誘いに来た。
「ごめーん、あかり、悪いんだけど職員室へ行ってもらえる?」
 志保が廊下のドアからあかりを呼ぶ。
「うん、いいよ」
「じゃあ、おれは先に行ってるぞ」
 浩之はあかりを見送ると屋上の方へ歩いていった。

「お、葵ちゃんじゃないか」
 いつものベンチにはすでに先客がいた。
 小柄な少女がちょこんと座っていた
「ど、どうもこんにちは、藤田先輩」
 だが妙に落ち着きがない。
「隣いいかい?」
「え、ええ、いいですよ。」
 やはりどこかおかしい。
 隣に座るといっそう落ち着かなくなった。
(妙だな?何かあったのかな?)
「あ、あのこれ食べてください」
 葵はそう言うと可愛らしい弁当を差し出した。
(ああ、それで妙だったのか・・・)
 彼女の行動をそう結論づけるとありがたく弁当を頂くことにした。
 半分食べたくらいで躰が妙な感じがしてきた。
「・・・?」
(おかしい躰がし・・び・・・れ・・・・・・・)
 浩之はそこで気を失った。



「・・・・・ここは?」
 目を覚ました浩之はオカルト研の椅子に縛られていた。
 そして目の前には、目の下に真っ黒な隈を作った綾香と様々薬を持った芹香、そして
綾香の後ろにすまなそうな顔をした葵立っていた。
「ごめんなさい藤田先輩・・・・綾香さんの命令で逆らえなかったんです」
 謝る葵を片手で制すると、綾香が一歩前に出た。
「私はね、あんたのおかげですっんごく酷い目にあったの。あんたが逃げたおかげで私
が死ぬ思いしたんだから、その何分の1かは楽しんでもらうわよ」
「あ、綾香さん・・・・」
 浩之の顔はすでに真っ青だ。
(目がまぢ・・・・)
「・・・・・・・・・」
 先輩の目にも非難の色が映っている。
(先輩・・・・目が怖い)
「この薬ね、まだ実験してないのよ。大丈夫、死ぬような薬はないから・・・多分ね」
 そう言うと芹香が浩之の目の前に瓶を持ってきた。
「・・・・・・・」
「こ、この中から選ぶの?」
 浩之の言葉に姉妹は首を振る。
「最初にどれを飲むを選ぶの。最終的には全部飲むのよ」
 こくこく
「・・・・」

 のちに松原葵はこう語った。
「あれ以来、綾香さんのお料理は食べたいと思ったこと無いですから」
 葵は何が起きたのかは決して口にしなかった。
 また藤田浩之もこう語る。
「あの姉妹だけは敵に回しちゃいけないな」
 彼はその後の一週間、来栖川の病院で面会謝絶の状態が続いたとだけ話してくれた。
 来栖川姉妹のコメントはない。が、浩之が入院している間毎日お見舞いに来ていたとは
言われている。

 



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