− 7 −


 そんなこんなで、誕生パーティーはお開きになった。
 一人一人、セバスのじじいが運転するリムジンで送ってもらい、それぞれの家へ帰って
ゆく。
 最後にオレとあかりが家の近くまで送られた。
 そして、何故か芹香先輩と綾香が同行して来た。
「・・・二人とも、ありがとな。すごく楽しかったぜ」
 車から降りて、窓を開けている来栖川姉妹に、少し照れながらオレは礼を言った。
「お気に召してくれた?」
 にこやかに話す綾香。
「まあな。と言うより、すごく嬉しかった」
「本当、浩之ちゃん、最初に入って来た時にすごくうれしそうな顔をしていたもんね」
「ま、まあな」
 て、照れる。
 思わず頭を掻きながら横を向いてしまった。
 それを見てくすくす笑うあかりと綾香。芹香先輩は・・・さすがに笑っていなかったが、
目はとても暖かい目をしていた。
「じゃあ、またな。また、こう言うイベントがあったら呼んでくれよな」
「うん、じゃあ、またね」
「………………」
 そうして、リムジンは走り去っていった。


「しかしよ、せめて一言くらい言ってくれても良かったんじゃね〜のか?」
「ご、ゴメンね。でも、どうしても秘密にして置いて欲しいって、綾香さんに頼まれちゃ
ったから・・・」
 あかりの家まで送って行く事になり、並んで歩く帰り道。
 ふと、思い出したオレはあかりに文句を言った。
「でも、浩之ちゃんの嬉しそうな顔って、本当に久しぶりに見たな〜」
「うん、そうか?」
「うん、だって、最近浩之ちゃんって、今日の事調べるのに夢中になっていたじゃない
?」
「ま、まあな」
 ふふっと微笑むあかり。


 やがて、あかりの家の前に着いた。
「じゃあ、ちょっと待っていてね」
 あかりは一旦家の中に入ると、何やら包みをもって出て来た。
「はい、これは私からの誕生日プレゼント。一日早いけど・・・」
 そう言って、にっこりと微笑んでオレにその包みを渡してくれた。
「おう、ありがとな」
 包みを受け取る。
 へへっ、実は、今日の一連の出来事の中で、これが一番嬉しかったりする。
「じゃあね」
「おう」
 あかりは家に入ろうとしたが、立ち止まってオレの所に戻って来た。
「? どうした?」
「・・・あのね。何か、今日の浩之ちゃん、すごく羨ましかった」
 羨ましい?
「・・・何でだ?」
「だって、浩之ちゃん女の子のお友達がいっぱい居たじゃない。ちょっとだけ妬けちゃう
な・・・」
 少し寂しそうに言うあかり。
 ・・・ったく、こいつときたら。
「しょーがねぇなあ、お前は」
 そう言って、オレは少し強引にあかりの体を引っ張った。
「あっ?」
 そのまま抱き寄せ、半ば強引に唇を塞ぐ。
「・・・!」
 最初はびっくりしていたあかりだったが、やがて目をつぶった。
 そのまま、しばらくその恰好で居た。
「・・・ったく、お前は本当に心配性だよなぁ」
 しばらくして、唇を放してからオレはそう言った。
「・・・だって・・・」
 赤くなって下を俯くあかり。
「安心しろ。オレは世話好きなのは確かだが、浮気性じゃねぇよ」
「・・・じゃあ、証拠を見せて?」
 あかりが、潤んだ目を向けて来た。
「・・・ったくよぉ・・・」
 あきれながら、オレはもう一度、あかりの唇を塞いだのだった。


  − 終わり −








−あとがき−

前ページ    二次創作おきばへ戻る    感想送信フォームへ